法的位置付けを明確にするため、閣僚会議の下に新設する分科会に移行するという。
「3密」回避の新しい生活様式などを示し、政府に対して緊急事態宣言の発令や解除に直結する助言を行ってきた組織である。
感染が一段落したとはいえ、第2波への懸念は強まっている。積み重ねてきた議論が停滞するようなことがあってはならない。
ここに来て廃止すると言うなら、専門家会議にどんな問題があったのか、具体的に説明すべきだろう。法的な位置付けを挙げるだけでは不十分だ。課題を整理しなければ議論を引き継ぐ分科会の性格が曖昧になりかねない。
専門家会議のメンバーは記者会見を開き、これまでの活動で感じた問題意識を説明している。
「あたかも専門家会議が政策を決定しているような印象を与えた」とし、政府との関係をはっきりさせるべきだと強調した。
政治と科学に関する重要な問題提起と言える。今回のように社会が未知の事態に直面した際、科学は知見やデータに基づいて状況を分析し解決策を探る役割を担い、政治は、暮らしに影響する政策を決断する役割を担う。
専門家の間には政策決定の責任まで実質的に負わされているとの不満があったのではないか。
どんな根拠で判断したのかが正確に伝わってこそ、政策への理解は深まる。結果として失敗することもあろう。その場合に責任を取るのも政治の役目である。
安倍晋三政権はコロナ対策で思い付きのような政策を重ねた。2月に発表した全国一斉の休校要請は専門家会議の提案ではなかった。「アベノマスク」の配布が有効な政策とは考えにくい。いずれも決定の経緯や根拠は不透明だ。
政府は、専門家会議の内容を詳細に伝える「議事録」を作成しない方針を示している。「議事概要」は公表するが、恣意(しい)的に編集されてしまう恐れがある。
公開に消極的な政府の姿勢からうかがえるのは、科学的な検討の成果を国民共有の情報とは考えず、政策に都合よく利用できる手段とみる意識ではないか。
新たに設ける分科会には、地方自治体の代表や危機管理の広報の専門家なども参加する。専門が幅広い分野にまたがり、政治と科学の役割分担が一層見えにくくなる恐れはないだろうか。
政府の責任逃れのための機関にしてはならない。
(6月26日)
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June 26, 2020 at 07:23AM
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