『原神』は良くも悪くも世界中のゲーマーから注目されている新作ゲームのひとつである。
『原神』は中国のゲームスタジオmiHoYoが開発・配信予定のオンライン対応オープンワールドRPGだが、操作性やビジュアルなどゲームの様々な要素が『ゼルダの伝説:ブレスオブザワイルド』(以下、BotW)によく似ているのだ。BotWのプレイ経験がある人であれば、『原神』をプレイすると間違いなく既視感を覚えるだろう。
しかし、『原神』をただのクローン作品と決めつけるのも早計だ。BotWが2017年3月に発売されてから3年が経過した今になってようやくフォロワータイトルが出てきたこと、もしかしたら「BotW系」がゲームジャンルのひとつになるかもしれない可能性が出てきたことを筆者は素直に歓迎したい(かつて「DARK SOULS」からソウルライクが生まれてように)。
IGN JAPANは以前もPAX EAST版のプレビュー記事を掲載しており、そちらではバトルシステムや世界観について触れている。この記事ではクローズドベータテスト(以下CBT)で十数時間以上プレイして見えてきた本作の具体的な特徴を紹介しよう。なお、筆者はPC版のCBTに参加してXboxコントローラで操作しており、ゲーム進行度として冒険ランクが21レベル、メインシナリオはモンド城の龍神クエストを終えた程度ということを伝えておく。
元素の属性を活かすアクションバトルと印象に残るロケーション
『原神』のバトルシステムと世界観はPAX EAST版のプレビューで詳しく解説されているが、こちらでも軽く触れる。
『原神』の舞台である幻想世界「テイワット」は七つの元素「水」「火」「雷」「岩」「草」「氷」「風」で構成されており、プレイヤーは本作に登場する約30種のプレイヤーキャラクターから最大4人のメンバーの組み合わせでバトルのコンボを決めるのが要となる。プレイヤーキャラクターはそれぞれ元素の種類と使える武器が決められており、プレイヤーの攻撃やフィールドの環境の組み合わせによって敵キャラクターに効果的にダメージを与えられるのだ。
たとえば、炎をまとった敵に風の必殺技を当てると炎をまとった竜巻となって敵を巻き込んで大ダメージを与えたり、フィールドの草木を燃やして上昇気流を発生させたりする。水場であれば雷や氷の魔法で水にぬれた敵同士が連鎖してダメージを受けるが、注意しないと水場からプレイヤーもダメージを受けてしまう。
また、フィールドの環境を利用せずとも、プレイヤーキャラクターたちを頻繁に入れ替えることで属性攻撃を重ねられる。本作のバトルはクールダウン制の強攻撃を使ったらキャラクターを切り替えるように立ち回ればスムーズに慣れていけるだろう。
そして、『原神』の舞台であるテイワットはハイラルに負けず劣らずの広大なフィールドがあり、本作ならではのロケーションも用意されている。プレイヤーが最初に訪れる草原エリアはハイラル平原とあまり変わらない印象を受けるが、モンド城は「ハイラル城とその城下町が滅んでいなければこんな感じだったのかも」と思わせる大規模なロケーションだ。
紅葉エリアにある璃月港は真っ赤な建築物で構成されたザ・中華街といった容貌で、開発会社miHoYoの土地柄がよく表れている。もちろん、街以外にも本作独特のロケーションがあり、巨木を囲うように作られた旅館や雲の上の高さに細長い石が切り立っている「武陵源」のような山岳地帯はクライミングや滑空(パラセール)との相性が良い。
以上の説明を読んだ方には「なるほど、『原神』はBotWのバトルをスタイリッシュアクションにしてロケーションを中華風にしたんだな」と捉える人がいるかもしれない。しかし、それは早とちりだ。本作はオンラインゲームのオープンワールドRPGであり、実際のプレイ感覚は一人プレイのオフラインゲームと全く異なるものになっている。
オンラインゲームの文法で作られたレベル制重視のRPG
本作を開発・配信する中国のゲーム会社miHoYoはiOS/Android向けのオンラインゲーム(『崩壊3rd』など)を開発・運営してきた。ということは、『原神』もモバイル向けオンラインゲームの文法に則って作られていると考えるのが自然だ。
『原神』はプレイヤーのできる行動が「冒険ランク」というレベル(プレイヤーキャラクターの戦闘経験値とは異なる)によって大きく制限される。プレイヤーがフィールドを探索するだけなら自由だが、メインクエストをクリアしないまま行動範囲を広げてもクエストやイベントがほぼ発生しないため、プレイヤーはとにかくレベルを上げることを考えるよう促される。
しかし、メインクエストにはレベル制限が設けられており、メインクエストをクリアする度に発生するサブクエストを全てクリアしてもレベル制限にはまったく届かないのだ。それでは、プレイヤーはどうやって経験値を稼げばいいのだろう? これには主に4つの手段が用意されている。
一つ目は、フィールドを探索してファストトラベル地点を解放したり、丘々人(ボコブリン)を狩ったりコログの実のような簡単な謎解きをしたりして宝箱を開けまくる。二つ目は、ゲーム内日誌に表示されるチャレンジ(特定の敵を倒す、特定のアイテムを指定数集めるなど)の条件を満たして報酬を貰う。三つ目は、日によって内容が変わるデイリークエストを受注する。デイリークエストは簡単で経験値も多いが、一日に受注できる数に限りがある。四つ目は、ダンジョンを周回して雑魚ラッシュやボス戦をひたすら繰り返す。
これら4つの手段のうち、安定して稼ぐにはデイリークエストを受注して、それでも経験値が足りなければダンジョンを周回するようになるだろう。とどのつまり、本作はメインクエストとサブクエストだけを一日中やりこむようなゲームプレイを想定していないのだ。
近年では一人プレイのオープンワールド(特にUBI)でもオンラインゲーム的なレベル進行が取り入れられることも少なくないが、それに比べても本作は経験値が貯まりにくい。そのため、本作をBotWと同じ意気込みでプレイすると面食らってしまう。
なお、本作は冒険ランクをある程度まで上げることで他プレイヤーと協力プレイできるようになる(オンラインゲームだから当然だ)。『原神』のマルチプレイはフレンドと一緒に探索も出来るし、共同でダンジョンに挑戦することもできる。率直に言うと「BotWをマルチプレイにしたらこんな感じなのかな」を実際に体現したようなゲームプレイだ。他プレイヤーが自分のワールドに参加してくることも珍しくない(もちろん拒否もできる)が、一人プレイに退屈さを覚えてきたら積極的に他プレイヤーのワールドに参加してみよう。
そのほか、やり込み要素として100階連戦ダンジョン「深層螺旋」が用意されているので、本作の戦闘が気に入った人であればこころゆくまでやり込むことができるだろう。
基本無料の祈祷でプレイヤーキャラクターを引こう
『原神』は基本無料のオープンワールドRPGであり、プレイヤーはガチャを引くことができる。本作がガチャで引けるのはキャラクター育成アイテムやレアリティの高い武器に加えて、オープンワールドRPGでは珍しくプレイヤーキャラクターもガチャに含まれる。
『原神』のゲーム本編におけるサブクエストはガチャに含まれるプレイヤーキャラクターに焦点を当てており、サブクエストを通してキャラクターそれぞれの来歴や性格を学んだりキャラクターを試用したりすることでガチャを引く意欲が出るように設計されているのだ。ただし、CBTでは本編に全く出てこないプレイヤーキャラクターたちもガチャで引くことができた。必ずしもゲーム内シナリオの進行度と一致する順番で出てくるわけではないようだ。
また、プレイヤーキャラクターのスキルを成長させるためのアイテムもガチャで引き当てる必要がある。そのほか、不要な武器は合成して強化に使ったり、武器やアクセサリーごとにレベルを上げることもできるなどモバイルゲームらしい要素が多い。実際、『原神』はiOS/Androidで配信されるモバイルゲームである。そのため、『原神』はPCやゲーム機でじっくりやり込むよりもモバイル端末でコツコツと継続するプレイスタイルを想定しているのかもしれない。
まだまだ謎が多いが、一度手に取ってみるべし
『原神』はCBTで公開された範囲だけでも20時間ほどプレイできそうなボリュームが用意されているが、CBTでは入れないエリアも多くて全貌は掴めない。西洋ファンタジー風のエリアや中華風のエリアに加えてどんなロケーションが用意されているのか、あるいはどんなキャラクターが登場するのか、まだまだわからないことだらけだ。
それに、CBT中にも大規模な期間限定イベントが開催されたことに驚いた。璃月港で慰霊祭として無数の紙灯籠が街中に浮かぶイベントは圧巻の光景だった。『原神』はオンラインゲームとしての利点を生かしてプレイヤーを復帰させる策を用意しているのかもしれない。
今後も積極的に季節限定イベントが開催されるのであれば、オープンワールドRPGとして面白い試みではないだろうか
『原神』がBotWのフォロワーであること、ゲームのバランスがオンラインゲームであることや基本無料を懸念するゲーマーもいるかもしれない。しかし、本作はPC、PS4、Switch、iOS、Androidとゲーマーならどれか一つは持っている端末でリリースされるので、本作を始めるハードルは非常に低い。正式にリリースされたらまずは一度手に取ってプレイし、それからプレイを継続するか判断しても遅くないはずだ。
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March 29, 2020 at 04:00PM
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『原神』は化学要素を強調したスタイリッシュバトルのオープンワールドRPGだ!クローズドβテスト版プレイレポ - IGN JAPAN
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