3日午後、ソウル城北区(ソンブクク)にある劇団「チョイン」の地下練習室。ある若い男性が女性に、焦った表情で何か頼んでいた。一見すると求愛のように見えたが、実は女性が持っている秘密の資料を一度見せてほしいとねだる科学者を演技していた。
男性は、20代の若くて野心満々な米国出身の科学者でDNAの構造を初めて発見したジェームズ・ワトソン役を務め、女性はワトソンに偉大な発見の核心的ヒントになる資料を奪われ、忘れられる悲運の学者、ロザリンド・フランクリン役を務めた。科学史で最も論議のある場面を演じていたが、練習で2人の台詞と表情は笑いが出るほど愉快だった。
彼らは12~16日、ソウル大学路(テハクロ)のアルグァヘク小劇場で開かれる劇「ゲノム ・エクスプレス」を準備している。ゲノム・エクスプレスは、国内では珍しい本格的な科学劇だ。科学文化企画会社「風の道科学」のチョン・ギヨン代表と劇団「チョイン」が共同で企画した。親と子が似ている神秘な生命現象である「遺伝」の秘密を明らかにするために100年以上、孤軍奮闘してきた科学者9人の人生を俳優6人が熱演する。生物学者で教師でもある作家のチョ・ジンホ氏が2016年に発表した同名の『グラフィック・ノーブル』をチョン・ヘユン演出家が劇化した。
科学演劇なら、頭が痛くなると思うかも知れないが、漫画の影響を受けた幻想的なストーリーの中に「人」としての科学者の話を盛り込んでいるので面白味と感動があると、制作スタッフは説明する。チョン・ヘユン氏は、「生き生きとしたキャラクターを作ることに特に神経を使った」とし、「俳優も配役を理解するために多くの資料を探して読んで研究し、これを台本に染み込ませる」と語った。
主人公の1人である生物学者のバーバラ・マクリントックを演じた俳優のキム・ハジン氏は、「時には成功し、時には失敗するという点で、科学者も私たちと同じ道を歩く人ということを知り、演技して何度も涙が出た」と話した。
参加する俳優は、新人から20年以上の経歴を持つ中堅まで多彩だ。芝居が天職だと思っていた人々は、今回の作品を演技して初めて科学に目を開いた。遺伝の概念を提起した科学者のアウグスト・ワイスマンを演じた俳優のキム・シンヨン氏は、「人に関する話で始め、世の中に対する質問に進むという点で科学と芝居はよく合っていることを知った」と話した。
ユン・シンヨン東亜サイエンス記者 ashilla@donga.com
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February 05, 2020 at 06:12AM
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