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共同発表:塗布型有機薄膜太陽電池の高効率化技術の開発に成功~低コストで環境にも優しい次世代太陽電池の実用化に一歩~ - 科学技術振興機構

共同研究チームは、広島大学のグループが以前に開発した、当時世界最高レベルの変換効率を示した「PNTz4T注9)」という半導体ポリマー(図1a)へフッ素を導入することを検討しました。すでにPNTz4TのAの位置(図1a)にフッ素を導入することはできていたものの、量子化学計算注10)からより有効であると予想されるBの位置へのフッ素導入はできていませんでした(図1b)。今回、大阪大学のグループが別の化合物を用いて開発した、フッ素を導入する最新の技術を組み合わせた結果、Aの位置に加えて、Bの位置(図1a)にもフッ素を導入することに成功しました。

OPVの変換効率向上には、半導体ポリマーとフラーレン誘導体の分子軌道エネルギーのマッチングが非常に重要です。量子化学計算によると、Aの位置にのみフッ素を導入すると、分子軌道のHOMOが低いエネルギー準位に移動するため、OPVの電圧に相当する分子軌道エネルギーの準位差(ΔHL)が大きくなるため、高効率化に有効であることが分かっていました(図2)。しかし、電流に相当するエネルギー(g)が大きくなることが問題でした(gが小さい方が電流は高い)。一方、Bの位置にフッ素を導入すれば、分子軌道のLUMOが低い準位に移動することが予想されていました。そこで、AだけでなくBの位置にもフッ素を持つ半導体ポリマー(F2-F2)を開発し、千葉大学の研究グループが持つ独自の光電子分光測定装置を用いて精密に分子軌道エネルギー準位を解析したところ、HOMOとLUMOがともに低い準位に移動しており、ΔHLは大きくなり、gが保持されていることが分かりました(図2)。

次に、F2-F2を用いてOPVを作製したところ、分子軌道エネルギーがより適切な準位に移動したことで、PNTz4Tを用いたOPVに比べて電圧が向上し、変換効率は一割向上することが分かりました。しかし、変換効率は向上したものの、gは小さくなっているにもかかわらず電流が低下するという予想外の結果が得られました。この原因を、京都大学のグループがOPVの光・電気的測定により解析したところ、Bの位置にフッ素を導入することで、電荷が電極に回収され電流が発生する前に電荷再結合する確率が増大していることが判明しました。さらに、大型放射光施設「SPring-8」注11)のビームライン(BL46XU)で、これら半導体ポリマー薄膜のX線構造解析を行ったところ、Bの位置にフッ素を導入すると電荷を流しやすい分子配向状態になる半面、Aの位置にもフッ素があると電荷輸送しにくい分子配向状態になることが分かりました。すなわち、この分子配向状態の変化が再結合を増大したと考えられます。

今回、フッ素導入により、半導体ポリマーの分子軌道エネルギーはより理想的な準位へ制御できることが明らかとなりました。一方、フッ素導入の位置によって半導体ポリマーの分子配向への影響が異なることも明らかとなり、これらを複合的に理解することがOPVの高効率化において極めて重要であることが分かりました。

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"化学" - Google ニュース
January 14, 2020 at 07:36AM
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