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バドミントンに科学の力 西日本工大・井上監督、創部4年で強豪に - 西日本新聞

 創部4年で九州の強豪チームに急成長した西日本工業大(福岡県苅田町、北九州市小倉北区)バドミントン部を率いる井上翼監督(38)は、工学部総合システム工学科の准教授でもある。専門の研究テーマは「バドミントン」。工学部でバドミントン研究? どんな内容か知りたくて、研究室を訪ねた。

□上級者は周辺視

 対戦相手がスマッシュを打つとき、レシーバーはどこを見ているか? 井上准教授は昨年11月、学生らを使って実験をした。(1)初心者(2)7年経験者(3)25年経験者-にそれぞれカメラ付き眼鏡のようなアイトラッカーという器具を付けて視線を計測した。

 初心者は、相手の打点を凝視した後にシャトルを懸命に追い、視線が大きく動いた。逆に上級者ほど視線は動かさず、相手の上半身を中心にぼんやりと見ていることが分かった。そもそも初速400キロともいわれるスマッシュを目で追っても反応はできない。上級者は「周辺視」を使って動き全体を捉え、シャトルの方向を予測して対応していた。

 科学が導く上達法は「シャトルをよく見ろ」でなく「全体をぼんやり」。井上准教授は「練習に応用できる」と話す。

□他競技より遅れ

 五輪のメダル候補がひしめく日本バドミントン界。競技力は世界トップ級だが、学術的な研究は他競技に比べ遅れているという。

 井上准教授自身、バドミントン研究を始めたのは3年前だ。八代高専、九工大大学院で選手として活躍し、専門学校講師を経て2013年に西工大へ。もともとは音声の研究が専門だったが、同僚から「好きなことを研究対象にしたらモチベーションも上がるのでは」と言われ、工学面からのバド研究を思いついた。

 当時のバド研究は、体力測定や運動生理など側面からのアプローチが中心だった。もっと専門的な知見の集約や現場への還元が必要と感じる研究者7、8人が動き、日本バドミントン学会を発足させたのは18年のことだ。現理事の井上准教授も準備委員会の一人だった。

 今では60~70人が加盟しているが、工学系の研究者は異色という。例えば、多変量解析という統計的技法を用いて、試合中の膨大なデータからショットなどの傾向を分析する手法を研究中。イメージトレーニングの実験では、パソコンやテレビの画像を見るより仮想現実(VR)機器を使った方が集中力が高まると脳波測定で実証した。

□産業化見据えて

 自身の研究を部の強化策に反映させ、実績を競技全体の底上げに還元する-好循環づくりへの手応えに「大学の理解とサポートのおかげ」と感謝を口にする。大学は弱小だった同好会を15年に強化サークル指定。部に昇格させ選手を集めたことで、研究対象にできたという。大学の支援に応えるため最大目標に掲げるのが「研究成果の産業化」だ。

 最有力候補は情報通信技術(ICT)の活用。バレーなど他競技はベンチにタブレットを持ち込み、試合中にリアルタイムでデータ分析するのが日常だ。「バドミントンでもICTを使える大会をつくりたい」。西工大が開発した分析ソフトを搭載した機器を手に、指導者たちが瞬時の戦術を戦わせる大会。観客もプレー内容のデータを会場で楽しめたら…。「進化が遅れた分野だけに、新たなビジネスチャンスがある。企業やスポーツ界にメリットがあり、大学の社会貢献にもなる」と構想を語った。 (石黒雅史)

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April 27, 2020 at 04:00AM
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