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令和2年度の戦略目標及び研究開発目標の決定について - 文部科学省

令和2年3月9日

令和2年度における科学技術振興機構の戦略事業の戦略目標(5件)と、日本医療研究開発機構の革新事業の研究開発目標(1件)を決定しましたので、お知らせいたします。

1.概要

 我が国の基礎研究力の強化が求められる中、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(新技術シーズ創出)(以下「戦略事業」という。)と日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端研究開発支援事業(以下「革新事業」という。)においては、新興・融合領域の開拓に 資する挑戦的な研究の充実に向けた改革に取り組んでいるところです。
 令和2年度における戦略目標と研究開発目標(以下「戦略目標等」という。)の策定にあたっては、こうした改革の一環として、より多様な分野の研究者が挑戦的な研究活動を展開できるよう、その策定プロセスの改善を図り、今般、令和2年度における戦略目標(5件)と研究開発目標(1件)を次のとおり決定しました。
 なお、本内容は円滑な事業の実施に向け予算成立に先立ち発表するものであり、国会審議の状況により変更等が生じる可能性があり得ます。

(参考)戦略事業と革新事業の概要
 JSTの戦略事業は、文部科学省が定めた戦略目標の下、大学等の研究者から提案を募り、組織・分野の枠を超えた時限的な研究体制を構築して、イノベーション指向の戦略的な基礎研究を推進する競争的資金制度です。また、AMEDの革新事業は、文部科学省が定めた研究開発目標の下、革新的な医薬品等につながるシーズの創出に資する研究を推進する競争的資金制度です。

【戦略目標】(JST)

○自在配列と機能

(達成目標)
本戦略目標では、原子や分子を思い通りの位置や順序で精密に配列させる技術を開発するとともに、配列に由来する材料機能との相関を解明することによって、機能材料設計の新しい指針を獲得することを目指す。具体的には、以下の3つの達成を目指す。
(1) 一次元~三次元配列や順序を制御する技術の開発と体系化
(2) 配列構造の解析・計測技術の開発
(3) ナノスケール配列により生み出される物性・機能を活かした材料の創製

○情報担体と新デバイス

(達成目標)
本戦略目標では、情報の取得・変換・記憶・演算・伝達・出力等の機能をデバイス内部で担う情報担体を、要求される性能に応じて探索及び最適配置することで、新たな機能デバイスの開拓や、システムとしての大幅な性能向上を実現することを目指す。具体的には以下の3つの達成を目指す。
(1) 多様な情報担体の探索及びその特性と機能に関する学理の構築
(2) 情報担体の制御手法確立と革新的デバイス動作原理の創出
(3) 革新的デバイスの創出

○信頼されるAI

(達成目標)
本戦略目標では、「人間中心のAI社会原則」に基づいた「信頼される高品質なAI」(Trusted Quality AI)の創出に向けた研究開発を推進する。具体的には、以下の3つの達成を目指す。
(1) 現在のAI技術の限界を克服する新技術の創出
(2) AIシステムの信頼性・安全性を確保する技術の創出
(3) データの信頼性確保及び意思決定・合意形成支援技術の創出  

○革新的植物分子デザイン

(達成目標)
本戦略目標では、これまでの植物研究の手法にとらわれず、近年特に発達を遂げた計測・分析技術、比較ゲノム解析等のバイオインフォマティクスや、有機合成化学等の他分野のサイエンスを駆使しながら、未利用の植物分子を軸とした生命現象の根本理解や植物分子デザインのための基盤技術確立を目指す。具体的には、以下の3つの達成を目指す。
(1) 有用植物分子の発掘と生合成メカニズムの解明
(2) 植物分子デザインに資する基盤技術の開発
(3) 植物分子デザインの多様な植物への応用に向けた研究開発  

○細胞内構成因子の動態と機能

(達成目標)
本戦略目標では、細胞内の観測・計測技術及び分子操作技術、シミュレーション技術等を開発し、それらを組み合わせることにより、細胞内高次複合体の動的構造・局在・数量と機能との関係について、相関にとどまらず因果関係をも明らかにすることで、細胞内で起こる未解明の生命現象の基礎原理を見出し、理論化することを目指す。具体的には、以下の4つの達成を目指す。
(1) 細胞内高次複合体の時空間的及び定量的理解のための計測・解析基盤技術の開発
(2) 非平衡・複雑系の細胞内環境に共通する原理の解明
(3) 細胞内高次複合体の状態を操作・制御する基盤技術の開発
(4) 細胞内高次複合体の相互作用や構造-機能相関の理解

【研究開発目標】(AMED)

○目標名:プロテオスタシスの理解と医療応用

(達成目標)
本研究開発目標では、細胞内外のあらゆる場所に存在するタンパク質の恒常性(プロテオスタシス)に着目し、変性・凝集・分解等の動態を細胞から個体レベルで解析することで、疾患発症機構を明らかにし革新的医療の創出を目指す。具体的には、以下の3つの達成を目指す。
(1) プロテオスタシスに分子レベルで関与するタンパク質周辺環境についての理解の向上
(2) プロテオスタシスの破綻に由来する疾患の発症機構の解明
(3) プロテオスタシスが破綻する機構を標的とした疾患治療薬やバイオマーカーのシーズ開発

2.今後の予定

  今後、JSTとAMEDにおいて、戦略目標等の達成に最適な研究領域と研究総括等を選定し、3月下旬頃公募を開始する予定です。新興・融合分野の開拓に貢献し得る、より多くの優れた提案を期待しています。

(参考)スケジュール(予定)
・3月下旬以降 研究課題の公募
・5月下旬以降 研究課題の選定
・10月上旬以降 研究の開始
【注】このスケジュールは現時点の見通しであり、変更等が生じる場合があります。また、個々の事業によって公募等の時期が異なる場合があります。詳細はJST及びAMEDのホームページ等で確認してください。

3.戦略目標及び研究開発目標の詳細

研究振興局基礎研究振興課
金子、濱田
03-5253-4111(内線4120)

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