チバニアン(千葉時代)が地質時代の名称に決まりました。千葉県市原市の川沿いにある崖に、地磁気の逆転という地球史上の大事件の記録が残っていることが国際地質科学連合に評価されました。
富士山の青木ケ原樹海はコンパス(方位磁針)が狂うので、一度入り込むと出られない、という伝説があります。
樹海は富士山の溶岩の上にあります。溶岩が冷えて固まるとき、中に含まれている磁性鉱物が磁場の影響で並びます。この方向を調べれば、溶岩が固まったときの磁北(磁石の指す北)が分かります。でも、磁石を狂わせるほどの磁力はありません。
百年近く前の一九二六年、松山基範(もとのり)京都帝大教授は兵庫県の玄武洞で溶岩を調べていて、磁北が現在とは逆に南向きなのを発見しました。当時は一つの岩石を測定するのに四時間かかったそうです。
その後、国内や朝鮮半島、中国東北部でも調査した結果、ほぼ半数が逆を指しました。松山教授は二九年に「地球磁場が逆転していた」と発表しました。
地球の内部構造がまだほとんど分かっていなかった時代。N極とS極が入れ替わるというのは大胆な仮説です。学界からはほとんど無視されました。
広く認められるようになったのは六〇年代です。海洋底の調査から何度も磁場の逆転が起きていることが分かりました。
磁場の逆転は、地球の表面は何枚かの大きな岩板でできているというプレートテクトニクス理論が誕生するきっかけの一つとなりました。日本列島は日本海が拡大するとき、逆くの字形に曲がったという説も生まれました。
チバニアンは約七十七万年前から約十二万年前までの時代です。市原市の崖は「千葉セクション」と呼ばれ、最後の地球磁場逆転が起きた証拠が残っています。崖の下部は磁場が現在と逆ですが、上部は今と同じです。その境界より上がチバニアンという時代です。
玄武洞での発見から論文発表まで三年、認められるまでに三十年以上もかかっています。時間もお金もかかっていたことがわかります。
近年、経済的に役に立つ研究かが問われ、すぐに結果を求める風潮があります。今回の命名決定のニュースは、基礎研究はもっと長い目で見なければいけない、ということを教えてくれます。そして、科学の成果は知的財産であることも忘れてはいけないのです。
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January 22, 2020 at 03:00AM
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チバニアン命名 科学は一日では成らず - 中日新聞
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