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「遺伝子編集ベビー」問題、中国人科学者に懲役3年の実刑判決 - MITテクノロジーレビュー

世界で初めて遺伝子編集ベビーを誕生させた中国人科学者が、中国の法廷で懲役3年の実刑判決を受けた。

ライス大学とスタンフォード大学で教育を受けた生物物理学者のフー・ジェンクイ(賀建奎=当時は南方科技大学の准教授)は2018年、遺伝子編集した双子の「ルルとナナ」を誕生させたと発表し、世界を驚かせた。

中国の新華社通信によると、判決ではフー元准教授に刑期に加えて42万5000ドルの罰金が課されたほか、生殖医学への関与を生涯に渡って禁止された。判決は、12月30日に深セン市南山区地方人民院(裁判所)で言い渡された。

フー元准教授の同僚であるチャン・レンリとチン・ジンチョウについても、「生殖目的でヒト胚の遺伝子を編集した」として、それぞれ懲役2年と懲役18か月の実刑判決を受けている。

フー元准教授が2018年に発表しようとした同プロジェクトの論文原稿には、胚の遺伝子編集を実施した責任者と見られる発生学者のチンをはじめ、10人の著者が名を連ねている。チンは論文の筆頭著者である。残りの研究メンバーが処罰を受けるかどうかは不明だ。

判決によると、フー元准教授とその研究仲間は2016年から共謀し、CCR5と呼ばれる遺伝子を編集した子どもを誕生させた。CCR5遺伝子を修正することで、HIVウイルスへの耐性がヒトに備わる可能性があると考えたのだ。

フー元准教授は、研究によって富と名声が得られ、中国にとっても大きな科学的成功につながると考えた。だが、2018年11月に実験の存在をMITテクノロジーレビューが初めて明らかにした直後から、ほとんどの専門家がこの研究を非難し、当局は犯罪行為として捜査を開始していた。

判決文は、双子の赤ん坊の誕生に加えて、中国における3人目の遺伝子編集ベビーの誕生を国として初めて認めている。2度目の妊娠については、2019年の夏に出産されたものと見られる。

法廷は、フー元准教授らが「科学研究および医療管理に関する国の規則に故意に違反し、遺伝子編集技術をヒトの生殖補助医療に軽率に適用した」と認定した。

非公開の裁判で、検察側は文書、目撃証言、電子ファイル、動画といった証拠を提出した。フー元准教授は2人の研究仲間と同様に、罪を認めたと伝えられている。

新華社通信によると、フー元准教授は「ブラックリスト」に掲載され、ヒトの生殖補助技術への関与を生涯に渡って禁止されるという。

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アントニオ レガラード [Antonio Regalado]米国版 医学生物学担当上級編集者
MIT Technology Reviewの生物医学担当上級編集者。テクノロジーが医学と生物学の研究をどう変化させるかについて追いかけ、記事を書いています。2011年7月にMIT Technology Reviewに参画する以前はブラジルのサンパウロを拠点に、科学やテクノロジー、ラテンアメリカ政治について、サイエンス誌や他の刊行物向けに記事を書いていました。2000年から2009年にかけては、ウォールストリートジャーナルで科学記者を務め、後半は海外特派員を務めていました。

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