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高校生科学技術チャレンジ、最高賞に「ダンゴムシ」研究 世界大会へ7チーム - Asahi Shimbun GLOBE

JSECは高校生と高専生(3年生まで)の個人・チーム(3人以下)が対象。今回は142校から過去最多の267研究の応募があり、516人が参加した。

12月14、15日、日本科学未来館(東京都江東区)で開かれた最終審査会には、書類審査と一次審査を通過した32チームが挑んだ。それぞれポスターに研究内容をまとめ、大学教授ら審査委員を前にプレゼンテーションをした。

プレゼンテーションをする生徒たち=澤木香織撮影

15日には一般来場者向けのプレゼンもあり、各チームが4分間で研究内容を発表。研究を始めたきっかけや、わかったこと、どんな点で優れた研究なのかを説明していた。研究内容について詳しい質問も受けた。

7チームが派遣されるISEFには、世界80以上の国・地域から1800人ほどが出場。書類の作成や展示、プレゼンテーションはすべて英語で行う。

 ■「ダンゴムシ」研究11年目

生徒たちの研究対象は、キノコやイネといった身近な植物、生き物に関するものから、クレーターと重力の関係に着目したもの、AIを活用したものなど広い範囲にわたった。

特に優秀な「グランドアワード」のひとつ、文科大臣賞を受賞したのは、島根県立出雲高校の片岡柾人さん。研究したのは、「ダンゴムシ」だ。小学1年生から観察を始め、高校2年生にして研究歴は11年目となる。

プレゼンテーションをする片岡さん

最初は、自宅の畑にいたダンゴムシの動きや形が「かわいいな」と思って、観察を始めた。4年生のとき、野菜や果物を餌として与えているにも関わらず、ダンゴムシを飼育していたケースには悪臭やカビが発生しにくいことに気づいた。

それから夏休みの自由研究などでダンゴムシの抗カビ効果について研究を続け、中学1年生のときに、抗カビの鍵は「フン」にあることを突き止めた。高校に入ってからは、フンの中の微生物に着目して研究を深め、揮発性の抗カビ物質を生産する菌がフンの中に常にいることを明らかにしたという。今回のJSECでは、この新しい発見が高く評価された。

片岡さんは、ずっとISEFへの出場を目標にしてきたという。表彰式で最後に発表された文科大臣賞で名前が呼ばれると、ガッツポーズしていた。「興奮しています。いままでで一番うれしい」と感想を語った。

英語でのプレゼンテーションの経験は少ないといい、「今回たくさんのアドバイスをいただいたので研究をブラッシュアップし、本番までに英語を必死でやりたい」と話した。

 ■「世界で初めてのことをやる」

大阪府立大手前高校定時制の課程の橋本晃志さん(3年)は、惑星や衛星の「クレーター」の直径は、重力と関係があるのか、実験を通して検証した。

大阪府立大手前高校定時制の課程の橋本さん

今年1月、高校の特別授業で月について学んだ。そこで、クレーターができる過程はまだ完全に解明されておらず、クレーターの直径と重力の関係の解明も「まだ決着がついていない」と聞いたことがきっかけだ。「ならば、自分たちでやろう」と研究を始めた。

橋本さんは同校の科学部に所属。授業が終わった午後9時過ぎから10時までの部活動の時間と、ときには土日も使って研究を続けてきた。同校は大阪府内で定時制の課程がある春日丘高校、今宮工科高校の科学部と共同研究をしている。3校合わせると、16歳から86歳まで15人の部員が所属しているという。

刺激になったのが、顧問の久好圭治教諭が言った「世界で初めてのことをやるのが1番や」という言葉だったという。久好教諭は橋本さんについて「研究についてはくじけない。学会などで色んな人と接することで、自信をつけていった」と話す。

橋本さんは、「聞いてくれる人の様子を見ながら、自分の思いを伝えられるポスター発表が好き」という。一般来場者向けのプレゼンテーションではたくさんの人を前に堂々と話していた。橋本さんもISEFへ派遣される。

■7チームが米国へ

ISEFに出場する7チームは以下の通り。 プレゼンの訓練や英会話の研修をへて本番に挑む。

プレゼンテーションをする渋谷教育学園幕張高校の長島大来さん

【文部科学大臣賞】オカダンゴムシのフンに常在するブレビバクテリウム属菌による揮発性抗カビ効果~ダンゴムシ研究11年目で掴んだ産業的・学術的可能性~

島根県立出雲高等学校2年 片岡柾人さん

【科学技術政策担当大臣賞】クレーターの直径は重力に支配されるか?~重力可変装置を用いた衝突クレーター重力スケーリング則の実験的検証~

大阪府立大手前高等学校定時制の課程3年 橋本晃志さん

【科学技術振興機構賞】歩行性甲虫(カブトムシ)の運動解析に基づく6足歩行ロボットの製作と制御

渋谷教育学園幕張高等学校2年 長島大来さん

【花王賞】プラズマによる気流制御技術を用いた小型風力発電風車の製作

福島県立福島高等学校2年 石川悠さん、 横山佳観さん

【JFEスチール賞】省エネルギー水電解と鉄炭素電池を組み合わせた富栄養化防止システムの開発

静岡理工科大学静岡北高等学校2年 小川福史さん、三室裕暉さん、相原聖玲星さん

【栗田工業賞】イネの吸水機構~植物が最も吸水できる時間とは~

ノートルダム清心学園清心女子高等学校2年 前田彩花さん

【審査委員奨励賞A】カラメル化に必要な構造を同定する

兵庫県立宝塚北高等学校3年 高津舞衣さん

 

その他の受賞者は、JSECのサイトへ。

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December 25, 2019 at 05:03AM
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